バルサのSBと中盤の底

冒頭に述べた、先日のさいたまシティカップ観戦で気づいた標記の件について。
バルサのフォーメーションを試合中見てて気がついたのが、両SBのポジショニングが
ものすごく高いんですね、特に左のファン・ブロンクホルスト


たとえば敵が2トップだったとして、ディフェンスというのは原則一人多くあるべきなので、
最終ラインには3人ほしいわけです。基本的に4バックの場合はボールサイドの逆のSBが
下がって3人を確保するいわゆる「つるべの動き」が基本だと思います。(以下図)

 ○←ボールサイドSB
    ●   ●←FW(2トップ)
    ○  ○  ◎←最終ライン
◎の選手がSB

しかしバルサの場合は、守備時も攻撃時もSBの位置が高いのです。
これはSBの位置を高くすることによる利点をうまく使おうという意図があると思います。
相手のサイドの選手を押し込むことができ、サイドで分厚い攻撃ができるというものです。
バルサは3センターの4−3−3であり、センターのシャビとデコは中央でプレイすることが多いので、
分厚いサイド攻撃のためには、両サイドバックの攻撃参加が必須なのです。
たまに大逆へのサイドチェンジなども織り交ぜることもあるので。


しかし、SBが両方上がってしまうと、最終ラインの人数が足りないじゃないか
という問題がてきます。やはり3人はほしいわけです。
その点をバルサはどう解決したかというと、中盤の底にいる選手が最終ラインに入るのです。
先ほどの図で説明すると

○←SB(ボールサイド)
           ○←SB
   ●   ●←FW(2トップ)
   ○  ◎  ○←最終ライン
◎の選手が中盤の底

守備時にはこんなポジショニングのことが多かったです。
たとえばFWがサイドに流れてボールをもらおうとすると、CBのどちらかがついていき、
もう一人のCBがもう一人のFWをマーク、中盤の底の選手がカバーの位置に入り、
CBがディレイしてる間にSBが戻ってきて2人でボールを囲む、というようなシーンが見られました。
これなら、3バックの中央と変わらないのですが、また中盤の底の選手にはもう一つの役目があります。
中央突破をしてきたときや、FWが中盤に下がってボールを受けたときの
ファーストディフェンダーとしての役目、そして攻撃的な2人のセンターのフォローです。
守備時を図にするとこんな感じ。

   ●←FW
   ◎←中盤の底
        ●←FW
        ○←CB
     ○←CB

こういう選手を前目のリベロと言う意味で「フォアリベロ」と呼ぶこともありますよね。
もしくは中盤の底にいるので、「アンカー」とも言いますかね。
中盤の底で相手の攻撃の芽を摘み、また底から自らの攻撃の基点になるポジションです。
さいたまシティカップでは、前半はエジミウソン、後半はモッタでしたが、
このポジションの選手、ほとんど上がりませんでしたね。まさに守備専業という感じ。
とはいえ最終ラインから攻撃的なセンターにボールを引き渡したり、
前で行き詰ったボールを後ろで引き取って落ち着かせたりと、
攻撃時にもきっちり参加して重要な役目を担ってましたが。


JリーグでもFC東京が今野にこのポジションをやらせてシーズンはじめましたが、
なかなかうまくいかず今では昨年のものに戻してるようですが、
その理由としてこのフォーメーションの鍵であるSBの上がりが、
中盤でボールをキープできないのでなかなか促すことができないということ、
そしてSBにかなりの体力的負担を強いる、そして何よりもSBのパスの精度が…*1
ということがあると思います。
バルサは中盤のデコやシャビでまずボールをキープできますし、
(さいたまシティカップ時にはその「絶対とられない姿」に惚れ惚れしましたが)
ジオとべレッチ(この前はいなかったけど)はかなり体力豊富で、クロスもいいもの持ってます。
まだ日本ではこのフォーメーションを実践するのは難しいのかもしれませんね。


全般的に図が大雑把でごめんなさい。

*1:というわけで最近の加地さんの覚醒はFC東京的にはうれしいのではないかと